「サイバーヒステリー」という言葉が注目を集めています。
サイバーヒステリーとは、ネット上での情報の拡散や誤解、恐怖心が引き起こす集団的なパニック状態のことをいいます。
本記事では、サイバーヒステリーとはどんな状態をいうのか、原因や具体的な事例、影響などについて詳しく解説します。
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インターネットやSNSを見ていると、ある日突然、特定の話題で大勢の人が騒ぎ出すことはありませんか?
たとえば、「〇〇が危険!」「▲▲は絶対に使ってはいけない!」といった情報です。
こういった全国のみならず、世界中に広がっていく現象を「サイバーヒステリー」と呼んでいます。
単なる噂や誤情報が、ネットの力で一気に拡散され、社会的なパニックにまで発展することもあります。
実は、サイバーヒステリーという言葉が注目される前から、「集団ヒステリー(集団パニック)」という現象がありました。
この2つは似ているように見えますが、特徴や発生する背景が異なります。
それぞれの違いは、次の表を参考にしてください。
サイバーヒステリー | 集団ヒステリー | |
特徴 | インターネットを通じて集団的に恐怖心やパニック現象が広がる | 集団の中で一人がパニック障害やヒステリー状態になり、ほかの人にも連鎖する |
発生環境 | インターネットやSNSを介して情報が拡散(オンライン) | 閉鎖的な環境や仲間意識の強い集団内で発生(オフライン) |
発生の背景 | 信憑性の低い情報や誤情報 | 歴史的な社会への不安や恐怖(疫病など) |
症状 | 心理的な反応(パニックや混乱など) | ・身体的な反応(呼吸困難や湿疹など)
・精神的な興奮など |
従来の「集団ヒステリー」は、その場に居合わせた人々の間で起こる現象です。
一方、サイバーヒステリーはオンライン空間で、制限のない環境で世界中に瞬時に広がるという特徴があります。
サイバーヒステリーは、「デマ」による集団パニックが引き起こすと思われがちですが、単なるデマとは違います。
最近よくSNSで見かける「〇〇に注意して!」「××が危ない!」などの投稿。科学的根拠がなく、一部の事実だけを切り取って話が大きくなるなど、情報が拡散することは少なくありません。
しかし、こういった情報でも、多くの人は感情的に反応します。
また、「誰かの役に立ちたい」「危険を知らせたい」という善意から情報を拡散することで、あっという間に大きなパニックへと発展します。
こうした現象は単なるデマとは違い、参加する多くの人は悪意なく行動しています。
サイバーヒステリーが単なる噂やデマと大きく異なるのは、「拡散力」と「スピード」です。
人づてに口コミだけで広がっていた情報が、今ではたった数分で国境を越えて広がることもあります。
なぜネット集団パニックの現象が起こるのか、特徴をお伝えします。
口頭で伝わっていく噂は、広がるスピードには限界がありました。
また、伝える相手の反応を見ながら情報を共有するため、ある程度、言葉を選んで伝える傾向があります。
一方、ネット上の噂は伝える範囲や時間などに制限がありません。
情報を聞く相手の心情も直接確認できず、噂はテキストや画像として証拠が残ったまま広がります。
一度拡散すると完全に消去することは難しいです。
ネット上の噂は従来のものよりも、拡散力がはるかに強力で、影響範囲も広大になる傾向があります。
SNSの「いいね」や「シェア」「リツイート」といった機能は、情報拡散を劇的に加速させます。
とくに、怒りや驚き、恐怖に感じた感情に訴えかける内容は、多くの人は関心を持ち反応しやすいため、より拡散されやすい傾向があります。
たとえば、「この食品添加物が危険!」という投稿は、『この新しいレストランが美味しい』という投稿よりも拡散される可能性が高いのです。
不安をあおる情報は、人々の関心を引き、インターネットを通じてより多くの人に拡散されます。
また、SNSは反応が多い投稿を目に付きやすい部分に表示されるシステムを採用しているため、人々の関心をひく投稿ほど目に触れます。
こういった背景もあり、情報の拡散が加速するのです。
ネット上の匿名性もサイバーヒステリーを助長する要因の一つです。
自分の素性を明かさないことで、責任感の低下や衝動的な行動が現れやすくなり、過激な意見を投稿しやすくなります。
こういった環境は、批判的な意見や不安要素がより強調した表現になります。
さらなる不安や恐怖を生み出す悪循環に陥りやすくなるのです。
ネット上には、自分と似た意見や価値観を持つ人だけと交流できる場があります。
自分の考えが正しいとポジティブ思考となり、知らないうちに自分好みの情報だけに触れるようになる。
その結果、反対の意見をいう人を排除していき、誤った情報であっても「多くの人が信じている」という錯覚を生み出します。
こういった流れが、サイバーヒステリーをさらに引き起こす要因になるのです。
サイバーヒステリーは誤った情報が広まることで、個人の生活から社会全体まで、さまざまな混乱や被害が生じる可能性があります。
どういった影響を与えるのか、よくある事例とともにお伝えします。
サイバーヒステリーは、時に深刻な心理的・社会的影響を受けることがあります。
たとえば、あるSNSユーザーが「この店で食中毒になった」と投稿。
事実確認されないまま拡散された結果、実際には何の問題もなかったお店が風評被害を受けるケースがあります。
店主やスタッフは突然の売上減少に直面するだけでなく、心無い中傷や嫌がらせにさらされることもあります。
サイバーヒステリーが繰り返されると「どの情報が信頼できるのか」を判断するのが難しくなります。
たとえば、健康や医療に関する誤情報が繰り返し流れると、「専門家が言うことは信じられない」という気持ちが芽生えます。
その結果、本当に危険な情報が流れても「またか」と無視され、科学的に正しい情報さえも信じられなくなる危険性があります。
サイバーヒステリーの影響力と拡散力を考えると、一人ひとりが自分自身を守るための知識とスキルを身につけることが重要です。
情報の閲覧者はもちろん、発信者としても責任ある行動の心がけが大切です。
サイバーヒステリーに振り回されないためには、次のような習慣を身につけることが重要です。
ネットで見た情報が本当に正しいのか、情報源はひとつだけではなく複数確認して、一次情報源までさかのぼることが必要です。
また、画像検索などのツールを使って、その画像がどのような文脈で使われてきたかを確認する習慣も役立ちます。
企業や組織がサイバーヒステリーの標的になることも増えました。影響を最小限に抑えて防ぐためには、次のような対策が効果的です。
炎上が始まってからでは対応が後手に回ってしまうため、普段からSNS監視や迅速な対応ができる体制を整えておくことが重要です。
対応の遅れや誤った対応は、さらなる批判を招く原因となるので、専門家と連携して助言を受けられる環境を整えておくことも有効な対策です。
サイバーヒステリーは、ネット社会の特徴を利用して一気に広がる集団パニックの一種です。
誤情報や悪意ある噂が拡散されることで、心理的な影響だけではなく、社会的信用を失うリスクもあります。
ネットトラブルに巻き込まれた場合は、早急に適切な対応を取ることが重要です。
当事務所では、サイバーヒステリーのサポートを行っています。
専門知識を持つ調査員が、ご依頼者の状況に応じた最適な対策をご提案し、アフターフォローまで万全な対応をいたします。
ネット上のトラブルでお困りの際は、お気軽にご相談ください。秘密厳守で対応いたします。
監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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