
「職場内で、自分の人格を否定するような発言をされた」
このような、職場で浴びせられた言葉で傷付いた経験がある人もいるのではないでしょうか。
中には、相手の人格を否定するような悪質な暴言を受けた方もいるかもしれません。
そのような職場内での指導を超えた暴言は、全てパワーハラスメントに当たります。
この記事では、職場内のパワーハラスメントの概要、特に人格否定に当たるような言動について詳しく解説し、解決策をまとめました。
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前述したとおり、職場内の人格否定は、ハラスメントに該当します。
ハラスメントとは、「嫌がらせやいじめ」という意味の言葉です。
広く他人に対して不利益や、不快感を与える言動がこれに当たります。
ハラスメントの種類は、加害者と被害者の関係性によって多岐にわたります。
職場内のパワーハラスメントとは、職場での立場・職権、上下関係を利用した精神的・身体的な嫌がらせのことを指します。
上司が部下に対して人格否定的な発言をすることは、パワーハラスメントに該当します。
また、人格否定的な発言は、モラルハラスメントにも当たります。
モラルハラスメントとは、言葉や態度などで相手に精神的なダメージを加えることです。
同僚など、上下関係がない相手から人格否定的な発言を受けた場合は、モラルハラスメントに該当します。
2020年6月、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(通称、パワハラ防止法)が施行されました。
これにより、企業は、パワーハラスメントに対する社内方針の明確化や、ハラスメント相談窓口の設置、従業員がハラスメントの相談をしたことを理由に不利益に扱うことを禁止するなどの措置を講じるよう義務づけられました。

では、職場内のパワーハラスメントの定義とはどういったものでしょうか。
厚生労働省では、職場におけるパワハラ防止法に基づき、下記の3つの要素を満たす言動を、職場におけるパワハラと定義しています。

パワハラ防止法の施行後、都道府県労働局へのパワーハラスメントの相談件数は増え続けています。
厚生労働省の調査によると、2020年度の相談件数が1万4974件だったのに対して、2023年度は6万53件と約4倍に増加しました。
また、パワーハラスメント被害を理由とした適応障害やうつ病などの精神障害の労災認定件数も増え続けています。
パワハラ防止法施行前の2019年度は509件だったのに対して、同法施行後の2024年度は1055件と約2倍に増加し、過去最多となりました。

パワハラ防止法では、職場内のパワーハラスメントの具体的な行為を以下の6つの類型に分けています。
職場での人格否定的な言動は、この類型の内の「精神的な攻撃」に該当します。

人格否定とは、「対象者の人間性や気質、性格といった、その人自身が変えることのできない特性を否定する行為」を指します。
行動の間違いを指摘するのではなく、「お前はダメな人間だ」などと、対象者の存在そのものを否定する発言をいいます。
一方、指導は、対象者の成長を目的とし、対象者の具体的な行為(業務)の誤りを指摘する言動のことをいいます。
当然ですが、人格否定的な言動は、職場内に関わらず、誰に対してもしてはいけない行為です。
職場での人格否定的な言動は、相手の人間性や性格そのものを否定する行為であり、精神的苦痛を与えるパワーハラスメントに該当します。

人格否定を受け続けた場合、自尊心や自己肯定感が低下するだけでなく、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安障害といった深刻な精神疾患を引き起こす場合もあります。
また、人格否定は、被害を受けた瞬間だけの心の傷つきに留まらず、被害者の心身に長期にわたる深刻な影響を与えます。
人格否定をされた被害者は、加害者以外の対人関係にも恐怖を感じるようになり、日常生活や人生そのものに大きな支障をきたす可能性があります。

職場内で人格否定をされた具体的な事例を紹介します。
いずれも、職場での立場や力を利用して、対象者の人格を否定する言動を行った事例です。

上司Aは、部下が業務内でミスをしたとき、「こんな間違いをするなんてバカな人間だ」と言い、「こんな仕事をして金を貰うなんて、給料泥棒だ」と叱責した。
部下は上司Aに謝罪したが、上司Aは許さず、「存在が目障りだ。お前がいるだけで皆が迷惑している」など、長時間に渡って暴言を吐き、部下を追い詰めた。

上司Bは、普段から内向的で大人しい性格の部下の性格を何かにつけてからかい、「根暗で気持ち悪い」、「お前がいると空気が暗くなるから今すぐ笑え」などと発言した。
後日、その部下が会議でプレゼンをしたとき、何度か資料の読み間違いをしてしまった。
上司Bは、部下に対して、発表の方法等を指導をせずに、「お前がプレゼンが下手なのは、その暗い性格のせいだ」などと言った。

上記で紹介したようなケースは、人格否定的な言動としてパワーハラスメントに該当します。
一方で、職場内における「厳しい指導」が全て人格否定に該当するわけではありません。
このようなケースは、人格否定には当たりません。

もし職場内で人格を否定されるような発言を受けた場合、どのような対処法があるのでしょうか。
職場内の人格否定問題を解決するために最も重要なのは、早期発見・早期介入です。
パワーハラスメントは、放っておいて自然と改善されるものではないからです。
人格否定的な言動を受け、それが何度も続いて改善しないような場合、勇気を持って解決のために行動することが大切でしょう。
ここでは、職場内のパワーハラスメントの解決方法について具体的に解説します。

職場内で人格否定を疑うような言動をされたら、まずその事実を記録しましょう。
また、パワーハラスメントによって健康状態に不安を覚え、心療内科を受診する際にも、このような記録を持参すると適切な診断を受けるために役立ちます。

職場でのパワーハラスメントが発覚したら、まずは職場のパワハラ相談窓口に相談しましょう。
上述したとおり、パワハラ防止法によって、企業はに関する報告があった場合には、その調査をする義務があります。
職場でパワーハラスメントの調査を行なってもらい、改善内容を報告してもらいましょう。

国や自治体、民間団体などが運営するパワーハラスメントの相談窓口に相談するという方法もあります。
労働局や労働基準監督署の相談窓口、法務省の人権相談窓口、厚生労働省の総合労働相談コーナーなどで職場でのパワーハラスメントに関する相談を受け付けています。

職場の対応が不十分だと感じた場合は、法的措置を検討しましょう。
悪質なパワーハラスメントは不法行為に当たるため、加害者に対して、被害者が被った精神的・身体的損害に対する賠償を求める民事訴訟を起こすことができます。
また、パワーハラスメントが犯罪行為に該当するほど悪質な場合は、刑事告訴をすることも可能です。
法的措置にあたっては、弁護士に相談することで、法的な観点から解決策をアドバイスをもらえます。
弁護士が被害者の代理人として対応することで、職場や加害者とのやり取りの窓口になってくれます。

人格否定問題の事実認定の段階で、職場や加害者との間で争いになる場合も考えられます。
そんなとき、人格否定の事実を裏付ける客観的な証拠があると、より確実に被害を立証でき、交渉を有利に進めることができます。
人格否定の証拠として効果的なものは、以下のとおりです。
加害の具体的な内容や、それらが起きた日時などを整理して文書として残したものは、パワーハラスメント証拠として認められる可能性が高いです。
パワーハラスメントの現場を撮影、録音したものがあれば、決定的な証拠となります。
※ただし、違法な手段で録音・撮影されたものは、証拠能力がないと判断されます。
被害当時の被害者のリアルな感情が記載された日記は、パワーハラスメントの証拠として扱われる可能性が高いです。
パワーハラスメントの現場を見たことがある、加害者が被害者の悪口や陰口を言っていたのを聞いたことがある、といった周囲の人の証言は、パワーハラスメントの証拠となり得ます。
パワーハラスメントによって心療内科等を受診した場合、医師による診断書をもらうことで、被害者の客観的な証拠となります。

パワーハラスメント被害の証拠を収集する際は、探偵に依頼することをお勧めします。
探偵に依頼することで、以下のような証拠収集を代行・サポートをしてもらえます。

知識がないまま自力で証拠収集をすると、相手にバレてしまったり、証拠能力がないと判断されてしまうこともあります。
探偵に依頼すると、法的に有効な証拠収集のアドバイスを受けることができます。
確実な証拠収集を行うには、探偵によるサポートが必要不可欠です。

探偵であれば、関係者への聞き込み調査によって証拠収集することも可能です。
被害者の同僚などの周囲の人間は、パワーハラスメントの目撃者になっている場合が多いです。
探偵であれば、目撃者の立場を考慮しつつ、聞き込み調査を行えるため、多くの目撃証言を収集することが期待できます。
加害者が過去にも常習的にパワーハラスメント行為を行っていた場合は、過去の被害者たちに協力を頼み、同じような被害の証言を確保することもできます。

人に対して暴言を吐くことは、職場の内外を問わず、許されるものではありません。
人を指導する上で、時には厳しく叱ることも必要ですが、限度を超えた暴言を受けた場合には、適切に対応することが大切です。
当探偵事務所は、パワーハラスメントに関するさまざまなご相談をお受けし、解決に導いております。
職場内のパワーハラスメントについてお悩みの方は、まずはご相談だけでも、お気軽にご連絡ください。
ご相談は、お問合せフォーム・電話・メール・LINEにて24時間お受けしています。

監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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