神奈川県の座間市で9人を殺害したとして、死刑が確定していた白石隆浩死刑囚の死刑が執行されました。
白石死刑囚は自殺願望のある若い女性をSNSで自宅アパートに誘いだし犯行に及んでいました。
長年犯罪調査と抑止に携わってきた探偵の経験から、今回の白石隆浩死刑囚の死刑執行について、この事件が私たちに投げかける課題について考察します。
事件が発覚したのは2017年10月30日。行方不明となっていた東京都八王子市の女性(当時23)の捜索で、警視庁の捜査員が座間市の白石死刑囚の自宅アパートに踏み込んだ際、部屋にあった複数のクーラーボックスからあわせて9人分の頭部を見つけたのです。
犠牲となったのは、女子高校生を含む当時15歳から26歳までの男女あわせて9人。いずれも首を絞められて殺害されるなどした後、遺体は包丁などで切断され、捨てられていました。2017年8月からわずか2か月間の犯行でした。
白石死刑囚は2020年12月に死刑判決が言い渡されるまで、JNNの記者との面会におよそ20回にわたって応じ、事件の詳細を語っていました。
白石死刑囚は、SNSで自殺願望をほのめかす若い女性に「一緒に死のう」などとメッセージを送り、自宅アパートに誘い込んで犯行に及んでいました。
【速報】白石隆浩死刑囚(34)の死刑執行 座間男女9人殺害事件 「捕まっていなければ…」約20回の面会で記者に語っていたこと SNSで自殺願望ある人を誘い出す
TBS NEWS DIGより引用
この事件は、SNSという現代の必須ツールが、いかに悪用される危険性をからんでいるかをしめしました。
白石死刑囚が「ツイッターはかかりが良くて、めっちゃ便利でした」と語った言葉は、デジタル犯罪の恐ろしい現実を表しています。
犯人は精神的に脆弱な状態にある若者を標的とし「一緒に死のう」という偽りの共感を武器に誘い出しました。
これは今までなかった犯罪手法で、現代特有の手口です。
白石死刑囚の証言で特に注意すべきなのは、犯行動機の変化です。
当初は「お金」が目的だったが、最終的には「性欲だけで事件を起こしていた」と自ら語ってます。
さらに「捕まっていなければ止まっていなかった」という発言は、連続犯罪の典型的なパターンです。
このような犯罪者の心理的変化は、早期発見と介入の重要性を強く示唆しています。
一度犯罪に手を染めた者が、より重大な犯罪へとエスカレートしていく危険性を常に念頭に置いておく必要があります。
被害者の多くが10代から20代の若者であったことは、現代社会が抱える深刻な問題を浮き彫りにしています。
SNS上で自殺願望や孤独感を表現する若者たちが、悪意ある者に狙われる構造的な危険性があります。
我々は単に犯罪者を取り締まるだけでなく、こうした潜在的被害者を保護し、適切な支援につなげるシステムを構築する必要があることを認識しなければなりません。
この事件では、行方不明者の捜索が契機となって発覚しました。
しかし、わずか2か月間で9人もの命が奪われたという事実は、現在の監視・警戒体制に改善の余地があることを否定できません。
デジタル犯罪の兆候を早期に察知し、被害の拡大を防ぐための新たな捜査手法と予防システムの開発が、今後の犯罪抑止において大きな課題です。
この事件は、法執行機関だけでは解決できない複合的な問題が存在します。
SNS事業者の責任、精神的ケアシステムの充実、若者の孤立防止、デジタルリテラシー教育など、社会全体での包括的な取り組みが必要不可欠です。
白石死刑囚の死刑執行は一つの区切りかもしれませんが、同様の犯罪を未然に防ぐために私たちは活動しています。
この事件から得た教訓を活かし、より安全な社会の実現に向けて、全力で取り組んでいきます。
身近に同様の悩みを抱えている人をご存じの方はご連絡ください。
経験ある相談員が対応します。
監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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