大阪府警が逮捕した総額約14億5000万円の地面師詐欺事件の、注目すべき点は主犯格の福田裕容疑者(52)と並んで逮捕された粂陵平容疑者(24)です。
住居不定で職業不詳という彼の状況は、現代の詐欺グループが若年層をいかに巧妙に取り込み、使い捨ての道具として利用しているかわかります。
この記事では、多数の洗脳事件を解決してきた探偵の目線から解説します。
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不動産会社の代表取締役になりすまし、土地や建物の売買代金をだましとったなどとして、「地面師」とみられる会社役員の男が逮捕されました。 東大阪市に住む福田裕容疑者(52)は大阪・中央区にある土地や建物の所有者になりすまして、いずれも40代の不動産会社経営の男性2人から建物3棟などの売買代金、合わせて約14億5000万円をだまし取った疑いが持たれています。
また、福田容疑者と住居不定で職業不詳の粂陵平容疑者(24)と60代の女の3人は、うその法人登記を申請した電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで逮捕されました。
引用元:Yahoo!ニュース|「地面師」とみられる男ら3人逮捕 約14億5000万円をだまし取ったか 大阪府警(2025年6月4日)
詐欺グループは、経済的に困窮し社会経験の浅い若者を標的にします。
彼らは心理学に精通しています。
まず、SNSやネットカフェ、繁華街で声をかけ、「楽して稼げる」「リスクなし」といった甘い言葉で接触。
最初は「書類を運ぶだけ」「名前を貸すだけ」といった軽微な役割から始めます。
この段階では、若者は自分が犯罪に関わっているという自覚すら持ちません。
グループは「俺たちは家族だ」「お前だけが頼りだ」といった心理的操作を駆使し、若者の承認欲求を満たしながら徐々に深い関与へと導いていきます。
今回の事件では、粂容疑者が実際の企業の取締役として登記されていました。
しかし、24歳の青年が法人登記の重要性や法的責任を十分理解していたとは到底考えられず、彼にとって、それは単なる「書類上の手続き」に過ぎなかったのではないだろうかという疑念があります。
現代の若者が直面する経済的困窮は深刻です。
奨学金返済に苦しむ大学生や元大学生、非正規雇用で将来に不安を抱える若者、家庭環境に恵まれず頼れる大人がいない若者たちです。
彼らは正規の就職が困難で「簡単に稼げる」という誘惑に抗う術を持ちません。
さらに深刻なのは、教育現場での法的知識や金融リテラシー教育の不足です。
多くの若者は契約書や登記の意味を理解せず、異常に高い報酬に疑問を持つこともありません。
「普通の仕事」との区別がつかないまま、犯罪の片棒を担がされているのが現実です。
詐欺グループの洗脳は段階的に進行します。
まず若者の困窮状況を把握し、「理解者」として近づきます。
この段階では、グループは若者にとって唯一の「味方」として機能するのです。
次に、軽微な作業から始めて徐々に重要な役割を担わせます。
この過程で若者は「後戻りできない」状況に追い込まれるのが実情です。
そして最終段階では、住居を提供したり生活費を援助することで、若者を完全に依存させます。
粂容疑者の「住居不定」という状況は、まさにこの最終段階を示している可能性が高いといえます。
若者は気づいた時には既に、グループなしでは生活できない状況に陥っています。
彼らにとって、グループから離れることは路頭に迷うことを意味しているのです。
こうして彼らは、自分の意思とは無関係に犯罪の「捨て駒」として利用され続けます。
この問題を解決するには、教育制度の根本的な改革が必要です。
実践的な法律・金融教育を義務化し、詐欺の手口と対処法を具体的に教え、批判的思考力を育成する教育を充実させなければなりません。
また、若者専用の相談窓口を設置。
SNSやオンラインでの相談を受け付け、匿名での相談が可能な体制を構築する必要があります。
企業による正規雇用機会の拡大、地域コミュニティでの若者支援、家族や友人による見守り強化も不可欠です。
洗脳の恐ろしさは、気づいた時にはすでに自分がコントロールできない状況に追い込まれている点です。
最終的には「抜け出す」方法を見失ってしまいます。
これはまさに「心理的監禁」とも言うべき状態です。
洗脳解除の第一歩は「気づき」です。
彼らに「自分は何かに操られている」と認識させるには、適切なタイミングで正しい情報を与え、洗脳を解除する必要があります。
私たちは多数の洗脳解除調査を実施してきました。
身近な人が洗脳されていると感じたら、ご相談ください。
最適な調査方法を提案いたします。
監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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